着いた瞬間にやる事がなくなった私は、
今度は若者が集まるというオーチャードロードに行ってみることにした。
来た道を歩いて戻るのも億劫になり、
バスに乗って行くことにした。
近くのバス停で乗って路線バスを降りると、
交差点の向こうにHMVの看板が見えたので、
いったいこの国の若者は何を聞くんかい?と
興味が湧き行ってみることにした。
店内に入ると日本と変わらないCDの陳列であったが面白かったのが
「JAPANESE」として分類されていて、
そこだけ若者たちがこぞって見ている事だった。
やはりサブカルは日本が断トツで抜きに出ているようだった。
その後もモールの中をブラブラ歩いて時間を潰し、
待ち合わせの時間となったので歩いて向かっていった。
着いた場所には外で彼女が待っていてくれた。
お店はいかにも東南アジアという感じの、
広くて開放的なオープンレストランであった。
天井にはいくつものファンが周りガヤガヤと中国語が飛び交っており、
丸いテーブルで飲んでいたスーツ姿の日本のビジネスマンたちが迎えてくれた。
年齢は私より5、6歳上で30歳手前だと言っていた。
どうやら彼女が私のことを事前に説明していたようで色々と質問をされた。
会話のなかでわかったことは、
男性の方たちは日本の企業から出向してきた人たちのようであった。
終始とても気さくに話しかけてくれて、
これからお金もかかるだろうからと食事もお酒もご馳走してもらった。
つくづく思うことはあの日に偶然出会わなければ、
この人たちにも会う事は無かったということだ。
何か自分の思ってた方向とは違う方にドンドン進んでいく。
これが旅の醍醐味ということなのだろう。
日本で生活をしているとなかなか巡り合いというモノを感じる事がなかったが、
一人旅とは寂しい割にそういう縁を感じる事ができるものなのだろう。
そんな事を思いながら楽しい時間が過ぎていった。